
2025年11月、文部科学省は「科学の再興」という提言を発表しました。その中で掲げられたのは、「年2万人の博士号取得者を輩出する」という目標です。同時に、博士課程学生への経済的支援の拡充や、研究環境を国際水準に引き上げるといった施策も示されています。
しかし、ここに重大な課題があります。
年2万人の博士を育てたとしても、卒業後に彼らはどこで働くのか──
その出口戦略が明確ではないのです。
文科省が「育成」を担当する一方、「雇用」は経産省や厚労省の領域です。この役割分断は、20年前の「ポスドク1万人計画」失敗の根本原因だったのではないでしょうか。
博士課程の学生と企業をつなぐ試みとしては、2021年から「ジョブ型研究インターンシップ」制度が推進されていますが、2024年度実績(2025年1月31日時点)では、登録学生7,827人に対して実際にマッチングしたのはわずか23件。登録者の0.3%に過ぎません。
制度として十分に機能しているとは言い難い状況が続いています。
この記事では、なぜ博士政策は繰り返し失敗するのか、その構造的な課題を分析し、政策を実際に機能させるために必要な条件について考えてみました。
- 文科省が掲げた「科学の再興」提言とは何か
- 過去の博士増員政策(ポスドク1万人計画)の結果
- 現在の出口施策:ジョブ型研究インターンシップの実績
- なぜ博士政策は繰り返し失敗するのか
- 博士政策を機能させるために必要なこと
